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東京都立川市の「東立川自衛隊 夏まつり」の見学に行ってきました。(2023年7月) 「東立川自衛隊 夏まつり」は立川市の陸上自衛隊「東立川駐屯地」で年1回行われる夏のお祭りです。

立川市には立川駅から比較的近いところに陸上自衛隊の駐屯地が2つあります。 ひとつは「陸上自衛隊立川駐屯地」でこちらは立川市の緑町にあります。 もうひとつが今回訪問した「陸上自衛隊東立川駐屯地」で、こちらは立川市の栄町に所在します。 東立川駐屯地は緑町の立川駐屯地ほど広くはなく、ここには 陸上自衛隊の地理情報隊および三多摩地区隊、そして防衛装備庁の航空装備研究所が置かれています。

その東立川駐屯地で年一回行われる「東立川自衛隊 夏まつり」では 普段は立ち入ることが出来ない駐屯地の一部が無料で一般公開されます。 お祭りの開催時間は午後4時から8時30分までで、盆踊り、自衛隊の装備品展示、 多数の模擬売店による飲食物の販売など、様々なイベントが行われます。

なお駐屯地の入場時には手荷物検査を受ける必要があります。刀剣、火薬類などの持ち込みは禁止ですが、 通常の常識的な持ち物であれば入場に際し特に注意するべきことは無いと思います。



●「東立川自衛隊 夏まつり」のポスター


1.常設展示

●常設展示されていた「OH-6D」


東立川駐屯地の夏まつり一般公開エリアには 観測ヘリコプター「OH-6D」が常設展示されていました。

この機体は1963年(昭和38年)に米ヒューズ・ヘリコプターズ社で開発された 観測ヘリコプター「OH-6A」が原型になっていて、 1969年(昭和44年)から観測ヘリコプター「OH-6J」として陸上自衛隊への導入が始まりました。 OH-6Jの生産にあたり、機体は川崎重工がライセンス生産を行い、 エンジンは米ロールス・ロイス・アリソン社製のものを輸入して使用しました。

東立川駐屯地に展示されているOH-6DはOH-6Jの発展型で エンジン出力の強化、メインローターの枚数増加、尾翼安定版の形状変更などが 行われています。このOH-6Dは、1979年(昭和54年)から川崎重工により 陸上自衛隊向けに193機が導入され、海上自衛隊でも練習機として14機が導入されました。

OH-6シリーズは小型軽量で視界も広く、世界30か国以上で使われた優秀機でした。 卵のような機体形状から「フライングエッグ」とも呼ばれましたが 川崎重工により後継機の純国産ヘリコプター「OH-1」が開発され、徐々にOH-6Dの退役が進みました。 2020年(令和2年)3月には全機退役となり、OH-6Dは現在自衛隊では使用されていません。


●OH-1
こちらがOH-6Dの後継機である「OH-1」です。川崎重工によって製造された純国産の観測ヘリコプターで、陸上自衛隊では「ニンジャ」の愛称で呼ばれています。

なお、この写真は2019年に陸上自衛隊立川駐屯地(立川市緑町)で開催された「立川防災航空祭」で撮影したものです。


【 主要諸元 (OH-6D) 】


全長9.54m(胴体7.09m)
全幅8.05m(スキッド幅2.07m)
全高2.73m
ローター径8.05m(5枚)
全備重量1.36t
最高速度281㎞/h
巡航速度239㎞/h
航続距離約460㎞
搭載機関250-C20B(米ロールス・ロイス・アリソン社)
出力375SHP(最大連続)
乗員1名(パイロット)+3名(便乗者)




2.特別展示

●特別設展示されていた装備品


東立川自衛隊の夏祭りに合わせ、夏祭り会場エリアでは自衛隊の現行装備品の特別展示も 行われていました。 以下に展示車両のご紹介をいたします。


●特別展示されていた「輸送防護車」


輸送防護車は危険な状況にある海外邦人を安全に陸路輸送することを目的とした装甲車両です。 自衛隊の装備品は国産のものが多いのですが、 輸送防護車はオーストラリアのタレス・オーストラリア社から購入した輸入品となっています。 2015年3月から陸上自衛隊に配備されていますが配備車両数はとても少なく、 あまり目にすることのない大変珍しい車両です。

この輸送防護車の車体にはいくつかの特徴があります。 たとえば輸送防護車は車両左側面に樹脂製の燃料タンクを装備しています。 樹脂製のため、燃料タンクに銃撃をうけたとしても燃料漏れを最小限に抑えられるようにしています。 そしてこの樹脂タンクがもし使えなくなったとしても車体内部に予備の燃料タンクが用意されています。

また輸送防護車は車体底部がV字型の装甲構造となっています。 車体の底部で地雷爆発が起きると底部が平面の場合、装甲が破られなくても爆風を直接受けて 車体が転覆する恐れがあります。しかし車体底部をV字型の装甲構造にすることで 底部で起爆した地雷の爆風を車体左右に分散させることができ、これにより搭乗員の安全性を より高めるようにしています。

そのほか、輸送防護車は航空自衛隊のC-130輸送機、C-2輸送機で空輸することも可能であり、 エアコンや長距離行動用の飲料水タンクも搭載していて邦人保護に適した装備も持ち合わせています。



【 主要諸元(輸送防護車) 】


全長7.18m
全幅2.48m
全高2.65m
全備重量約15t
最高速度約100㎞/h
航続距離約800㎞
乗員10名(後部乗員席8名)
武装5.56㎜機関銃「MINIMI」×1




●特別展示されていた「高機動車」


高機動車はトヨタの市販車「メガクルーザー」をベースにした4WD(4輪駆動)トラックです。 市販のメガクルーザーをもとに高機動車として自衛隊向けの改造が行われています。 開発、納入はトヨタですが、製造はトヨタ傘下の日野自動車が行っています。 高機動車の主な用途は隊員や装備の輸送、牽引などで1993年(平成5年)から陸上自衛隊に配備されています。

高機動車は屋根の無いオープントップの車両ですが、通常は幌(ほろ)を付けて運用します。 ベースが市販の自動車ということもあり、銃弾に対する防御装甲は車体に施されてはいません。 固定武装もありませんが、必要に応じて荷台部分に5.56㎜機関銃の銃架を設置し、 武装を装備することができます。 4WS(4輪操舵)機能もあり、旋回時には後輪も最大12度の舵角で切れるため、 最小回転半径は5.6mに抑えられていて大きな車体でありながら、かなり小回りが効きます。 また空気圧調整装置も積んでいて、もしタイヤが被弾し空気圧が低下しても この装置を稼働させることで安定した走行が出来るようにもなっています。

そのほか高機動車は大型輸送ヘリコプターCH-47Jや航空自衛隊のC-130H輸送機などの 機内に格納して空輸することも可能です。特にCH-47Jの場合は機内格納以外に、高機動車 を吊り下げて運ぶこともできます。

最後に高機動車の愛称についてですが、陸上自衛隊では 広報活動用として高機動車の愛称を「疾風(はやて)」としています。 ただ部隊内では「高機(コウキ)」とも呼ばれていることが多いのだそうです。(ご参考まで。)



【 主要諸元(高機動車)】


全長4.91m
全幅2.15m
全高2.35m
全備重量2.64t
最高速度125km/h
航続距離443km
最小旋回半径5.6m
乗員10名(後部乗員席8名)
エンジン名称15B-FTE(トヨタ製)
エンジン形式直列4気筒ディーゼル
過給機ターボチャージャー(インタークーラ付き)
燃料供給方式直接噴射式(電子制御)
排気量4104㏄
ボア(内径)108.0㎜
ストローク(行程)112.0㎜
圧縮比18.4
使用燃料軽油
最高出力170ps/3000rpm
最大トルク43.0kgm/1600rpm




●特別展示されていた「軽装甲機動車」


軽装甲機動車は、自衛隊員を安全かつ迅速に移動させることを目的とした装甲車両です。 開発・製造は小松製作所が行い、2002年から陸上自衛隊各地の部隊へ配備されています。 陸上自衛隊公式の愛称は「ライトアーマー」で、部隊内部ではLAV(ラヴ)とも呼ばれています。 (LAVは「 Light Armored Vehicle 」の略となっています。)

この軽装甲機動車には固定武装はありませんが、機関銃を設置できる銃座と防弾盾が車上に備わっています。 また離島などの遠方地域への空輸を前提として開発されているため、 陸上自衛隊の大型輸送ヘリCH-47Jや航空自衛隊の輸送機C-130Hに搭載できる サイズ・重量に抑えられています。 空輸の際には輸送機内部への搭載だけではなく、着陸困難な地域の場合は、 パラシュートの付いた専用ユニットでの空中投下や、大型輸送ヘリCH-47Jで吊り下げての輸送も行えます。 (なお、空中投下の場合は、専用ユニットの地上着地後、地上に待機していた隊員が 専用ユニットを開梱し、ユニット内の車両に乗り込んで移動を行います。)

軽装甲機動車は、自衛隊の海外活動でも高い頻度で活用されていて、 自衛隊イラク派遣、ハイチPKO、南スーダンPKO、ソマリア沖海賊の対策部隊派遣などの任務に参加しています。 ちなみに海外派遣の際、軽装甲機動車にエアコンが備わっていたため、その快適性が外国の隊員に とても好評だったそうです。 また軽装甲機動車は装甲車としては比較的コストが低いため、陸上自衛隊のみならず、 航空自衛隊にも基地警備用として陸上自衛隊とは異なる塗装で配備されています。

今回の特別展示では「東立川自衛隊 夏まつり」に集まった子供たちが、軽装甲機動車の上に 自衛隊員に持ち上げられて、楽しそうに写真を撮っていました。



【 主要諸元(軽装甲機動車)】


全長4.40m
全幅2.04m
全高1.85m
全備重量約4.5t
最高速度100km/h
航続距離約500km
乗員4名
エンジン形式いすゞ 水冷直列4気筒ディーゼルエンジン
排気量4800cc
最高出力160PS
駆動方式4WD(四輪駆動)
車体防護圧延鋼板、防弾ガラス
武装固定武装なし(5.56mm機関銃「MINIMI」搭載可)




3.催し物

●イベント会場の中央に組まれた「やぐら」


東立川自衛隊の夏祭りではいろいろな催し物も行われていました。

夏祭り会場エリアにある体育館横の「子ども広場」では 輪投げ、スーパーボールすくい、フリスビーゴルフ、子ども用の自衛隊服の試着、などが 行われていて、子どもたちが楽しそうに遊んでいました。

イベント会場の中央に組まれたやぐら周辺では 東京音頭、炭坑節、立川音頭などが流れ、盆踊りが行われます。 模擬売店も多く出店しており、焼きそば、かき氷、ポテト、串焼き、牛タン、等々 様々な美味しいものを楽しむことができます。




4.アクセス

●陸上自衛隊「東立川駐屯地」の地図


陸上自衛隊「東立川駐屯地」の最寄り駅は JR中央線・南武線・青梅線の「立川駅」または 多摩モノレールの「立川北駅」です。 そこから徒歩の場合は同駐屯地まで約20~25分の所要時間になります。 バスの場合は「立川駅北口ターミナル12番乗場」で 「北町行」に乗車し「自衛隊正門前」で下車します。

駅からタクシーを使う場合は、少し注意が必要で、 冒頭でも述べましたが、立川市には立川駅から近い箇所に 陸上自衛隊の「立川駐屯地」(緑町)と「東立川駐屯地」(栄町)があります。 それを明確に区別するため、行先は「栄町(さかえちょう)の自衛隊」あるいは 「立川競輪場側の自衛隊」と伝えるようにしたほうが良いと思います。



●陸上自衛隊 東立川駐屯地の正門






「東立川自衛隊 夏まつり」では通常立ち入ることができない駐屯地の様子も分かり、様々な展示や催し物、 そして模擬売店での飲食を楽しむことができます。開催場所の東立川駐屯地も 最寄りの立川駅から比較的近い場所にありますので機会があれば一度訪れてみてはいかがでしょうか。


   





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